あとがき
寺田佐代子氏は、愛知県でNPO法人ぴあサポートわかば会を主催する乳がんサバイバーです。がん患者のこころのサポートを、ピアサポート(患者同士の支えあい)の形で、ねばり強く実践しています。その中で、3冊の「こころのセルフケアノート」を発行してきました。
彼女が実践するのは、医療機関ではできない、がん体験者ならではのユニークながん患者支援の姿であり、地域社会の中(病院の外)に求められるがん患者のQOL(quality
of life)向上への有効なあり方なのです。
私は、「患者さんに顔のみえる」病理医として、わかば会の立ちあげからずっと、寺田佐代子氏とともに歩んできました。私のオーボエとサヨコのピアノ、このへなちょこデュオ演奏もずいぶんと歴史を残してきたことになります。はからずも、病院では聞けない患者さんの本音を聴かせていただいた結果、私は、患者のニーズ、こころのふるえを深く知る(感じる)ことになりました。感謝。
小川崇くんは、私が勤務する藤田保健衛生大学医学部の学生で、写真部に所属しています。雲の写真が得意な、こころ優しい青年です。NPO法人ぴあサポートわかば会のホームページをつくりこんでくれた、"ゆとりある"医学生でもあります。わかば会のホームページhttp://www.npowakabakai.comは情報満載です。ぜひ、訪問あれ。
こうした出会いの中で生まれたのが、この冊子「あなたとともに WITHNESS」なのです。サヨコのこころのうたとタカシのやわらかい表現力がよく呼応していると私は信じます。
この冊子が、がんを生きるひと、悲しいできごとから立ち直ろうとするひとに、少しでも役立つことを、こことから祈ります。この冊子を編集する最終過程で東北関東大震災が起こり、こころを痛めています。震災で被災した多くの人たちにも、私たちの思いを伝えたいと思います。
2011年3月
藤田保健衛生大学医学部病理学
堤 寛(病理医)
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