新クイックマスター病理学:「刊行によせて」より

 序文

 医学芸術社の中村雅彦さんより、看護学生向けのわかりやすいテキスト「新クイックマスター病理学」の改訂版をつくってほしいと依頼されたのは2005年の秋でした。なんと、単著で2006年春には本を出したいというのです。そもそも単著の教科書は珍しいし、執筆期間が信じられないくらい短い!

 中村氏の熱意に応じてはみたものの、それからが四苦八苦の連続。ライターの曲沼美恵さんに協力を仰ぎながら、何度もホテル泊まり込み作戦を行い、ようやくメドをつけました。それでも、図表や写真を整えるのは並大抵ではありませんでした。曲沼さんやイラストレイターの方々の苦労があってこそ、何とか仕上がったといえます。

 看護師として必要な病理学的、そして臨床医学的な知識は何か、病名の羅列ではしかたないし、箇条書きするだけでは頭に入らないでしょう。みなさんにとって何が大事なのか、病理医という医師である著者がすべて見通せているわけでは決してありません。事実、章ごとに項目を並べていると、つい羅列的になってしまうことをすぐに自覚・自省することが多かったのです。

 本書では、「疾患の分類」や「成り立ちのメカニズム」をなるべくわかりやすく記述しました。臨床症状や検査所見を詳しく書いているわけではないので、わかりづらい部分があるかも知れません。なるべく多くのイラストを入れるとともに、必要に応じて肉眼写真をつけ加えました。顕微鏡所見は必要最低限でわかりやすいものだけにかぎりました。

 また、各論のはじめには、復習のため、臓器の「正常の構造と機能」をつけ加えました。各項目に可能なかぎり「ポイント」を示しました。知識の整理に役立つはずです。本文中に書けなかった内容を欄外のNoteに補充してあります。Noteを穴埋め的に充実させることにちょっと苦労しました。少し詳しすぎる内容もありますが、ゆとりのある人は参考にしてください。さらに、図表に説明を入れてわかりやすく工夫もしました。何より、内容をすべて1人でまとめていますので、内容的なバランスや重複の少なさには他の本にない利点があると自負しています。

 力(リキ)を入れたのは、あちこちにちりばめた「コラム」です。気楽にコラムをお読みいただき、“勉強する気”になっていただければ幸いです。「なぜ?」を理解する助けになれば、まさにねらい通りということになります。実は、メディカルエッセイは著者の得意とする(いや、単に好きなだけの)領域です。せっかく勉強するのだから、みなさん楽しく勉強しましょう。ね?!

よろしければ、気楽にメールください。
tsutsumi@fujita-hu.ac.jp

ホームページも訪問してくれると嬉しいです。
http://info.fujita-hu.ac.jp/pathology1/

では、Good luck!

2006年5月吉日

著者、藤田保健衛生大学医学部第一病理学
堤 寛 Yutaka Tsutsumi, M.D.